IPA などの特殊な文字がデフォルトでカバーされるようになってきていること自体は朗報なのだが,この種の文字を実際に文書の中で使おうとすると,簡単に入力できる手段が事実上提供されておらず,せっかくの Unicode が活用できないという壁にぶつかる。Windows 2000 を例に取れば,「アクセサリ」 フォルダー内の 「システムツール」 に 「文字コード表」 と呼ばれるユーティリティーがあり,日本語 FEP の「記号入力」「コード入力」などと呼ばれる機能に対応する機能を Unicode 文字用にも提供する。「文字コード表」 は,フォントを選ぶとそのフォントにグリフが登録されている文字の一覧を表示し,文字をマウスで指定すると 「U+0260: Latin Small Letter G With Hook」 のように文字コードと名称を教えてくれるほか,文書に貼りつけることができる。しかし,日本語 FEP の補助として行う 「記号入力」「コード入力」 に相当する機能しかない 「文字コード表」 を使って,IPA の音声記号で転写された言語データをまとめて入力するのは至難の技である。
このような現状をふまえて,Windows や Mac に最初から付属している Unicode のリソースを,一般のユーザ,とりわけフィールド言語学者にも利用できるものにするための最小限の条件を考えてみると,次の2点に集約すると考えられる。