1957年,ノブゴロドでカレリア語が記された白樺樹皮の文書が発見された。カレリア語の3行の呪文がキリル文字で書かれている。13世紀初期のものと考えられ,バルト・フィン諸語の現存するテキストとしては最古のものとされる。
キリル文字 | ラテン文字 |
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юмолануолиїнимижи | jumolanuoli ï nimižï |
ноулисѣханолиомобоу | nouli sĕ han oli omo bou |
юмоласоудьнииохови | jumola soud'ni iohovi |
2行目の bou と3行目の soud’ni はロシア語 (cf. bogu (bog 「神」の与格), sudnyj 「審判の」),2行目の nouli は nuoli の書き誤りとされる。jumolanuoli 「神 (jumola) の矢 (nuoli)」 は稲妻のことで,「神の矢 (=稲妻) は十の名を持つ,その矢は神に属す,神は審判し導く」 というような内容の呪文であると解釈される。