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ハードディスクにあるファイルを指定する

コンピュータがファイルの読み書きを行う装置(記憶装置)は,ディスクないしドライブと呼ばれる。厳密には,円盤状のディスクが記憶装置そのものと言っていいが,ディスクの読み書きをするためには,そのディスクを回転させるための装置と,ディスクの中のデータを読み取ったり,ディスクにデータを書き込むための装置が一緒になったユニットが必要で,これをドライブという。記憶装置は,ディスクとドライブが一体となったものなので,通常の場合は,ディスクかドライブのどちらかの語で,その両方が一体となった記憶装置をさすことが多い。ここでも,この2つの語は同義語として扱う。

Windows系のコンピュータの場合,ドライブは,アルファベットの名前を付けて区別する。コンピュータを買うと,必ず内蔵されているのはハードディスクで,これは「Cドライブ」となるのがきまりである。フロッピーディスク・ドライブは,最近のノートPCにはついていないことも多いが,ついている場合は「Aドライブ」となる。「Bドライブ」はふつうない。小型のノートPCは別として,最近のたいていのパソコンには,CDROMドライブが「Dドライブ」として付いている。「Eドライブ」以降は,USB方式などで必要なときに差し込んで使う,いわゆる外付けのドライブに割り振られる。ただし,フロッピーディスク・ドライブだけは,外付けであっても「Aドライブ」になる。

コンピュータが特定のファイルにアクセスするしかたは,私たちが住所を頼りに人を自宅に訪問するときの方法と基本的に変わらない。その人の住所が,たとえば「長野県上伊那郡高森町生田2634番地」だったとすれば,この住所から,「長野県」の中の「上伊那郡」の中の「高森町」の中の「生田」の中の「2634番地」にある家を訪ねればいいことがわかる。この人の氏名が,下平太郎であるとすれば,この人を「長野県上伊那郡高森町生田2634番地」の下平太郎さんと呼べば,他にもいるかも知れない下平太郎さん(たとえば「東京都板橋区梅田1丁目39番2号」の下平太郎さん)と区別することができる。

ファイルの「住所」は,県郡市町村のような行政単位のかわりに,ドライブとディレクトリとで表される。たとえば,

は,《Cドライブにあるディレクトリ「Corp」の中のディレクトリ「perl」の中にある「ex31.pl」という名前のファイル》を指し,

は,《Cドライブにあるディレクトリ「Windows」の中のディレクトリ「Fonts」の中にある「JLOTFluraRom140705.otf」という名前のファイル》を指している。このどちらも,この授業に出ていれば,実際にハードディスク上(=Cドライブ)にあるファイルである。

ドライブ名つきの「住所」で表されたファイルの名前を「ファイルの完全名」とこの授業では呼ぶことにする。ファイルの完全名に出てくる backslash (日本語環境では記号\) は,Perl のプログラムの中に書くときは,slash で置き換える必要がある。すなわち,

これは,Perlのプログラムの中で backslash (日本語環境では\)が別の役割,すなわちエスケープ記号として予約されているためである。

実は,DOSの窓で,キーボードからファイルの完全名を手で入力する場合にも,slash をディレクトリ名の区切りに用いて一向にかまわない。backslash は,何かと取り扱いがやっかいなので,キーボードから入力するときにはいつも slash を書くことにしたほうが間違いが少なくなると思われる。

更新日 2006/06/27