Copyright © 2006 Kazuto Matsumura

音声記号入力ツール UniInput の使い方

インストールのしかた

  1. UniInput は Tcl 言語で書かれたプログラムなので,動かすために Windows 用のTclインタープリタ (ActiveTcl) をダウンロードしてインストールする必要がある。ダウンロードが済んだら ActiveTcl のアイコンをダブルクリックするとインストールが始まる。画面の設定を変更せずにそのまま指示通りに進めば,インストールは完了する。
  2. ActiveTcl のインストールが終わったら,UniInput のプログラムのインストールを行う。UniInput にはインストーラがついていないので,インストールは以下のように手動で行う。
    1. UniInput の入った zip 書庫ファイルを Lhasa で解凍(展開)すると次の4つのファイルが現れる。
      • license.txt
        balloon.tcl
        uniinput_1.0.tcl
        uniinput_config.dat
    2. この4つのファイルがはいったディレクトリ(フォルダ)を Corp/tool フォルダの中に移動させる。
    3. uniinput_1.0.tcl のショートカットを作り,デスクトップに移動させる。
  3. UniInput は,JLOT-Fluralic という名前のフォントで動くように設定されているので,このフォントをシステムにインストールする必要がある。
    1. JLOT-Fluralic フォントのはいった zip 書庫ファイルを Lhasa で解凍する。次の2つがフォントのファイルである。
      • JLOTFluraRom170204.otf
        JLOTFluraIta170204.otf
    2. コントロールパネルで「フォント」→「ファイル」→「新しいフォントのインストール」と進み,この2つのフォントをインストールする。

起動・文字入力のしかた

  1. デスクトップの UniInput のアイコンをダブルクリックすると,ソフトキーボード付きの簡易エディタが現れる。
  2. ツールバーの「Language」のメニューで「IPA Basic」を選択する。
  3. キーボードから入力できる文字(英数字)はキーボードで,画面で入力する必要のある文字はマウスでクリックして入力する。
  4. 「IPA Basic」にない補助記号は,「Language」で「IPA diacritics」に切り替えて入力する。

コピー・保存のしかた

  1. エディタで入力したテクストの一部をクリップボードにコピーする場合は,コピーしたい範囲をマウスで反転させ,右クリックして copy を選択する。
  2. エディタに入力したテクストの全体をクリップボードにコピーする場合は,エディタ画面でマウスを右クリックし,copy all を選択する。
  3. エディタに入力したテクストをファイルに保存する場合は次のようにする。
    1. ツールバーの「Encoding」で utf-8 がチェックされていることを確認する。
    2. ツールバーの「File」で save を選択し,保存先,ファイル名,拡張子 (.txt) を指定して保存する。

UniInput の設定ファイル

UniInput を構成する4つのファイルのうち < uniinput_config.dat > は設定ファイルである。以下に,この設定ファイルを書き換えてUniInput をカスタマイズするしかたを解説する。カスタマイズは,この Web ページの末尾の【注意】を読んだ上で,自己責任で行うことになる。なお,万一,UniInput が起ち上がらなくなった場合は,書き換えた設定ファイルを削除し,書き換える前の設定ファイルを復活させると再び動くようになるはずである。

設定ファイルの体裁は次のようになっている。

	JLOT-Fluralic,14
	Copy
	Copy all
	Clear
	IPA Basic,0xE6 0x250-0x253 0x3B2 0x299 0x254 [...] 0x2B2 0x2B7 0x2B8 0x308 0x2CA
	IPA Diacritics,0x2B0-0x2EE 0x300-0x34E 0x360-0x362 0x203F
	Latin 1,0xA0-0xFF
	Latin Extended A,0x100-0x17F
	Latin Extended B,0x180-0x233
	 ...

このファイルはテキストファイルなので,エディタで簡単に書き換えることができる(このファイルの書き換えだけなら,Windowsについている「メモ帳」で十分だが,テクスト処理をするには EmEditor などの本格的なテキスト・エディタのインストールが必要になる)。

設定ファイルの1行目は,表示フォントの指定である。デフォルトの「JLOT-Fluralic, 14」は,「フォント JLOT-Fluralic の14ポイント」の意味で,コンマの前がフォントの名前,コンマの後の数字がポイント(文字の大きさ)をあらわす。この行をたとえば,

	Doulos SIL,16

と書き換えると,入力画面の特殊文字の表示フォントは Doulos SIL の 16ポイントにかわる。

設定ファイルの5行目以下は,UniInput のツールバーの「Language」で切り替えられる文字セットの設定で,それぞれの文字セットが,1行ごとに定義されている。5行目以下の行の順番を入れ替えると,「Language」で開く選択メニューの文字セット名の順番が入れ替わる。不要な文字セットの行は削除してもかまわない。また,用途に応じた文字のセットを自分で定義して付け加えることができる。

Chuk-Kam cyr

たとえば,上の図の入力画面で選ばれている文字セットの定義行は,次のようになっている。

	Chuk-Kam Cyr,0x0430-0x0432 0x0432:0x02BC 0x0433 0x0433:0x02BC
	0x0453 0x0434-0x0435 0x0451 0x04D9 0x0436-0x0439 0x043A 0x04C4
	0x043B 0x0459 0x04C6 0x043C-0x043D 0x04C8 0x045A 0x043E-0x043F
	0x0440-0x0445 0x04B3 0x0446-0x0449 0x044D-0x044F 0x044B 0x044C
	0x044A 0x0410-0x0412 0x0412:0x02BC 0x0413 0x0413:0x02BC 0x0403
	0x0414-0x0415 0x0401 0x04D8 0x0416-0x0419 0x041A 0x04C3 0x041B
	0x0409 0x04C5 0x041C-0x041D 0x04C7 0x040A 0x041E-0x041F
	0x0420-0x0425 0x04B2 0x0426-0x0429 0x042D-0x42F 0x042B 0x042C
	0x042A 0x02BC

コンマの前は文字セットの名前,コンマの後ろが,文字セットの定義である。文字セットに含める文字は,Unicode の文字コードを使って以下の書式にしたがって指定する。

	0x02BC      	- 1文字
	0x0412:0x02BC	- 組み合わせ文字(文字+補助記号)
	0x0440-0x0445	- 文字コードが連続した一連の文字の一括指定

文字コードは半角スペースで区切って,配列させたい順番に並べる。

【注意】

  1. 設定ファイルの2~4行目は,順番を入れ替えたり,内容を書き換えたりしないこと。
  2. 設定ファイルの変更が済んだら,テキスト・ファイルで上書き保存する。このとき,もし書き間違いがあると UniInput が起動しなくなってしまう。書き換え前の設定ファイルは,名前を変えるなどして保存しておくことをすすめる。
  3. 設定ファイルは,拡張子が変わってしまうと,設定ファイルとして機能しなくなり,エラーとなる。保存の際には,uniinput_config.dat という名前で保存されたかどうか,確認することを忘れないこと。
更新日:2006/03/28